広い空の片隅で。

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2021年3月12日

 

ヴヴッ、とやけに重めな通知の感触がした。

速報のような気がしてスマホを見ると、ABEMAのニュース通知。「速報/「V6」解散を発表 森田剛は退所へ/放送中」と書いている。一瞬息が詰まり、クソほど面白くない誤情報だと震える手で画面を伏せてポケットに仕舞う。じわじわと身体が熱くなるのを感じながら、仕事の資料に向き合った。

 

休憩から戻ってきた職場の上司が「V6が解散するらしいよ」と冗談混じりに言う。その言葉に頭が真っ白になる。やっぱり本当なんだ。

私は、職場の人間にV6のファンであることを知られていない。ただ、今日ばかりは、誰にも何も言っていなくて良かったと思った。談や憶測や笑い話にされたら、きっと泣いてしまっていたから。上司の言葉には笑って誤魔化した。何で笑ってるんだ、それどころじゃない。

 

残りの50分の就業時間は、地獄だった。仕事をしていたけれど、何の作業をしたのか全く覚えていない。トイレに駆け込んでネットで嘘であることを確認したかったけれど、同時に本当であることは確認したくなかった。本当だったら動けなくなる気がして、仕事を続けた。

帰路、家族のLINE通知が15件も溜まっていることに気づいたけれど、無視。誰からもV6の話をされたくなかったし、自分から言いたくもなかった。家に帰って家族にすぐ「何も話したくないから話題にしないでくれ」と伝えた。気を遣ってくれた両親の小言の応酬を聞いて、ツッコみ、笑った。こんなときに良く笑っていられるな、と我に返る。今度は家で気が抜けたのか、じわり、視界が揺れた。

 

 

風呂に入りながら、ファンクラブの動画を見る。

どの情報よりも真実を伝えてくれるのは、公式だ。

坂本くん、長野くん、井ノ原くん、岡田くんは至って普通のテンションを保っていることに、何とも言えない心情を覚える。一方、ごうくんとけんくんは話を振られるまでの表情に変化がなかったように見える。それでも、6人で決めたことを本当にただ「報告」する内容だった。いつもより丁寧に、とにかくファンの気持ちが、と気にしてくれていたことが印象に残っている。

ごうくんが退所の意向をはっきりと口にしていたことが意外だった。ただ、話をするときに、言いづらそうでもあり、はっきりと言いたげでもあり、何だか今までに見たことのない森田剛だ。本人の口から聞けたことが、やけに新しい道への本気を感じさせる。それを見守るメンバーも終始穏やかな姿だったように見えた。

 

本人たちが話す姿を見て、ずっと我慢していた涙が溢れる。一度泣き出すと止まらなくて、何でだろうと思いながら手の甲でぬぐい続けた。

 

何でだろう。何で解散するんだろう。

 

動画は、わたしに「これは事実なのだ」と突きつけてきた。何せ、間違いなく本人たちが話しているから。

このとき、永遠だと思っていたことが永遠でなかったことへの絶望を感じ、同時に、勝手に確信していた永遠が失われたことに、裏切られた、と感じた。今思うと、本当に勝手なファンだと思う。本当に。最低だ。

 

けれど、それほどまでにわたしは、V6はいつまでもV6でいると思っていた。

V6V6である時間について、一般の方が感じるのと同様にファンとしては短く感じていて、個人活動にかかる時間の方がよっぽど多いと思っていた。しかし、今思うと、そう見えていただけなのかもしれない。グループで活動する時間があることで、できなかったこともあるのかもしれない。もっと他のことに使いたい時間だったのかもしれない。そう思うと、辛くなる一方だけど。

 

歌うこと、踊ること、年に12CDを発売すること、歌番組に出ること、バラエティに出ること、雑誌に出ること、2年に1回コンサートをすること、コンサートに向けて準備をすること、6人でいること。

 

多分みんなが思ってる。

悲観的な気分のまま、何が悪かったのだろう、何が負担だったのだろう、それはV6をなくさないとどうにもならないことなのか、わたしたちは気持ちの伝え方を間違っていたのだろうか。

このグループを、終わらせる必要が、あるのだろうかと。

 

 

 

 

しかし、終わらせるのだと、6人が言う。

いつもの調子で報告される。

きっと、発表されている以外の理由もあるだろう。それは、仕事、生き方、年齢、家族、わたしたちが人生の岐路に考えるのと同じ、あらゆる事柄に対する6人の選択が、今の結果に繋がっている。

もうこんなの、「そうか、分かったよ」と言うしかないじゃないか。

 

 

 

 

涙は止まらないまま、すぐに自室に入った。

Twitterを開き、ようやく仲間の声を見る。言葉はそれぞれで、けれど全てしっかりとV6に向かっていた。V6と仕事をされたクリエイターの方や芸能人の皆さんの言葉にも、大切に「いいね」を押した。一つ一つを読んで、一つ一つに涙が出た。何なら6時間ずっと泣いていた。泣くしかできることがなかった。

多くの声を見ながら共感もしたし、反発もしたし、自分の考えを改めさせられたりもした。友達とLINEで、何でこんな世の中になっているんだと会えない悔しさをぶつけ合った。

 

公式発表の文章で、改めて丁寧に説明された経緯を文字で読む。全ての文章を読んだ。一つ、V6をすきなこと、見守ることを早くも過去形にされていることが悔しい。まだすきだし、これからも見守っていくのに。

にこ健も読んだ。三宅健という人の言葉の選び方や伝え方の美しさを感じた。謝らないでほしい、ゆっくり伝えてほしいと言いたい内容だ。

 

 

 

 

正直、これだけ文章に起こしても整理はついていない。

嘘みたいな本当を伝えられた1日。時計の針は優しく残酷に時を刻み続けていて、眠れないまま今を過ごしている。泣きすぎて目は痛いし、頭も横から殴られているように痛い。

 

けれど、6人のカウントダウンはもう始まっている。

11日を大切に生きていきたい。

そして、それぞれの空、でも間違いなく繋がっている空の下で過ごしながら、V6への思いを届けよう。

 

 

 

今一度。

今日は、永遠なんてないことを知ったし、同時に永遠が何なのかを知った。ありがとう。

わたしはV6がすきだ。そして、V6がすきなわたしがすきだ。